野鳥の撮影について      会長 富谷健三 

 近年のデジカメの進歩はめざましく、ミラーレスカメラやネオ一眼(コンデジ)などの登場でますます撮影する人は増えることでしょう。
うまく撮れた時の喜びは格別ですし、美しい写真は私たちを鳥の世界に誘ってくれます。また、鳥の写真には多くの意義があります。

1.記録性
  写真は、客観的な記録を残すという意義があります。昔は、鳥の生息確認には標本を得ることが原則で、そのために捕殺していました。
  昆虫採集や植物採集と同じです。しかし、現在は、特徴がわかるような写真があれば、正式な記録になる可能性があります。写っていれ
  ば分からない鳥を後で人に聞くこともできます。日本鳥類目録の鳥が633種に増えた原動力になったのはデジタルカメラの普及で、鮮明な
  証拠写真がたくさん撮られるようになったことが大きいでしょう。

2.瞬間を切り取る
  港にシロエリオオハムが入っており喜んで撮影し、帰ってからパソコンで見て愕然としました。シロエリオオハムの体に細いテグスが絡まっ
  ていたのです。だから港に入ってきたのですが、肉眼では気がつきませんでした。コウノトリやヘラサギなどがパクッと餌を食べる瞬間の写
  真から、肉眼ではわからない餌の動物がわかることがあります。画像の羽の様子から幼鳥だったことに気付いたり、体の細かい特徴に気
  付いたりします。これらはまさに写真の力だと思います。瞬間の場面を残し分析することができるのです。

3.写真は芸術
  カレンダーなどのきれいな写真を見ると、確かに写真は芸術だと思います。映像は文章を超えて万人に訴える力があります。鳥の美しさや
  たくましさをストレートに伝えてくれる写真は魅力あるもので、人に訴え、鳥の保護につながる側面もあります。
  野鳥カメラマンが増えて、鳥に興味を持つ人が増えるのは悪いことではないと思います。


 しかしながら、野鳥カメラマンの悪行やトラブルがしばしば問題になります。市原市民の森ではストロボをたかれて営巣放棄したサンコウチョウ
がいるそうです。多くのカメラマンが道をふさいだり、所かまわず車を止めたり、入ってはならない場所に入り込んだり、珍鳥を追い回したりという
事例は後を絶ちません。鮮明な写真を撮るためには、一歩でも鳥に接近したいので、鳥にストレスをかけます。そこで「カメラマン=困った人」と
考えている人も少なくありません。
 しかし、野鳥写真そのものが悪いのではなく、マナーの悪い人がいることが問題なのです。これは鉄道写真でも、釣りでも、何にでも言えること
と思います。
 そこで、千葉県野鳥の会では、撮影ルールを声を大にして訴えていきたいと思います。日本で一番撮影マナーに厳しい団体であると言
われ、他団体のお手本にされたいものです。
言葉としては、マナーとかモラルという表現がふさわしいのでしょうが、意味を強めてルールとします。
千葉県野鳥の会が考える撮影ルールは次のとおりです。一言で言えば、鳥に気遣い、公共の福祉に反しないということです。


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